| 立飲み人生劇場 |
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| 「なんや」の巻 | 名古屋市昭和区塩付通1の47 TEL:052-762-9289 営業時間…午後6時〜午前2時 |
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■昭和区塩付2丁目交差点をご存知だろうか。南側から行くと2本の道路が斜めに交差して、そのちょうど交わるところに「なんや」はある。ビートたけしの「コマネチ!」でいくと、その頂点(!?)に位置する絶妙のロケーション。ブルーに塗られた壁には一面の絵。入ったことがない人なら、絶対に入りにくい店である。だからこそ、のぞいてみる価値があるのではないか、と訪問。
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8時5分。私も2階へ演奏の様子を見に行く。そこでは、立ってギターの臼井さんと、座ってトランペットの沖さんが、即興演奏の真っ最中。プォー、きゅいーん、プップクプー、ぎたぎたぎた(カタカナはトランペット、ひらがながギターの音)、みたいな掛け合いがあって、二人は互いのテクニックを駆使して、いわゆる持ち玉の出し合い。沖さん、マイルスデイビスなみのミュートで渋い音を出したかと思うと、やがて胡坐(あぐら)をかいて、今度はトランペットに2個のミュートをくっつけて、プッププッぱッポー。
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演奏は続いていたが、ふたたび下へ降りてきたら、そこでビールをうまそうに飲んでいたのがマッチョな若者、朝倉くん(25歳)。「なんや」にはちょくちょく足を運んで準常連客といったおもむき。体格がすごいので何かスポーツをやっていたの?と聞くと、高校時代に重量挙げをやっていたという。
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「社長になるんなら、今の仕事の中から何か商売のタネを見つけ出さなきゃ」と、こちらも親身になって話し込む。
「資金はあるの」
「それが、なかなか…」
「じゃ、なにか人より秀でたものがあるとか」
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「いや、どうして…」
「おいおい。そんなことでは社長にはなれんじゃない?」
「でも、今の仕事に納得いってないんですよね」
話しが堂々巡りするので、お酒の話題に切り替える。朝倉くんはずいぶんと若い自分から飲んでいたようで、ワインなどを町の酒屋さんで購入したかと思えば、居酒屋のチェーン店などにも足しげく通った。大学時代もコンパなどで、いわゆるチェーン店はほとんど制覇した実績(?)を持つとか。
「なんや」のような独立系の居酒屋へ顔を出すようになったのは社会人になってからで、「始めはバイト先の知人が連れてきてくれたんですが、この店だけは入りにくかったです」と述懐する朝倉くん。
横でにこやかな笑顔で聞いていた、マスターのプヨさんにも話をふる。
「へ? 81年、82年、よく分からないですよ。ははは」
「自慢の料理とかは?」
「あ。いやいあ。どうもどうも。ははは」
よく分からないのはアンタやろ!という突っ込みはグッとこらえて、「ビール、もう一本」。
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| ペン:沖てる夫 絵:前田幸三 カメラ:高島誠次 |
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『いつか、横になるまで 体裁/四六版・172P・ソフトカバー 定価/本体価格1,300円 発効日/2003年9月25日 発行所/長征社 神戸市中央区北長狭通5-8-6 Tel&Fax 078(371)6491 ※沖てる夫(おき・てるお) 1951年愛知県生まれ。名古屋市在住 詩人、自称「酒飲み文筆家」。 作品にはブルーズバンド「憂歌団」のために書いた「おそうじオバチャン」「10ドルの恋」ほか、最近、河合塾のCMソングとなっている「嫌んなった」など多数。「立飲み」という正統派酒飲みたちの実態をあますところなく記録・保存し、後世へ伝えるために1998年から取材をつづけ、このたび本書にまとめた。 |
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