| 立飲み人生劇場 |
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| 名古屋競馬場内 「伊藤店」の巻 |
愛知県名古屋市港区泰明町1丁目1 TEL 052-661-9791 |

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■「正月だし、競馬でも行くか」ってんで、名古屋競馬場で取材かたがた運だめし!の企画を立てた。と、話だけ聞くと、なかなかうまいことやってるじゃないのと思われそうだが、やっぱり取材となると大変ですわ。人の話を聞くのはいいんだが、まず、そのためのシチュエーションというヤツがある。いきなり知らない人に、「どう?今日の調子は」とにじり寄っていくわけにもいかないし、ねえ…。
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■取材に出かけたのは、まだ松のうち。その日も時折、霙(みぞれ)がまじる寒い寒い日のことでありました。昼の12時、絵描きの前田氏と入場ゲートで待ち合わせ。今回はゲストも2名。全員、競馬場は初めてと言う。ならばということで、まずは場内を巡る。
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前田氏、ゲストの2名も含め、「一体、いつ飲みに行くんだ」「どこの店へ連れていってくれるんだ」「入るんなら、さっさと入ろうよ」の様子。つまり、花より団子ならぬ、馬より酒。それではということで、場内にずらりと並んだ飲食店へと向かう。
「けいりんでもボートでも、いつも一緒に行くよ。今日は一宮けいりん行こうかと思ったけど、一宮は名古屋より寒いで、ほんだでこっち来た」と息子さん。写真を撮らせてと頼むと、おばあさん、後ろを向いちゃった。
「拾った金届けずに自分の懐入れちゃうで、写真はいかんと」と息子さん絶妙のフォロー。あわただしくラーメンをかき込んで、出ていった。そう言えばこちらはカップ酒、ビールと飲み進んでいるが、あの母子は、酒は飲んでなかった。北区は上飯田の人とのことだ。
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入り口近くに陣取っては、店内テレビで競馬観戦のおじさんたちに聞く。南区の塗装屋の長瀬さんと元車掌の後藤さん、そしてもう一人は「名前は、まあええ」の三人だ。
確かに荒れた展開のようで、先ほどのレースも3連単で11万円がついたらしい。本命党を自認する長瀬さん、今日の調子はイマイチだが元気だけはいい。
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馬が大好き。昔は電車の車掌をやっていたけど、今は清掃の仕事に就いているというのが枇杷島の後藤さんだ。
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■指先で5センチくらいの幅を作って、「このくらいは負けとるな」とニヤリと笑うのが、「名前はまあええ」さんだ。先の長瀬さんが、「オレは家2軒つぶしたで」と言うのを受けて、「オレなんか10軒はつぶしとる」と、豪気だ。三人は「伊藤店」の常連さんらしく、先ほどからくるくると立ち働いている美人店員のナカシマさんなんかとも、実に親しそうである。
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| ペン・カメラ/沖てる夫 絵/前田幸三 |
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『いつか、横になるまで 体裁/四六版・172P・ソフトカバー 定価/本体価格1,300円 発効日/2003年9月25日 発行所/長征社 神戸市中央区北長狭通5-8-6 Tel&Fax 078(371)6491 ※沖てる夫(おき・てるお) 1951年愛知県生まれ。名古屋市在住 詩人、自称「酒飲み文筆家」。 作品にはブルーズバンド「憂歌団」のために書いた「おそうじオバチャン」「10ドルの恋」ほか、最近、河合塾のCMソングとなっている「嫌んなった」など多数。「立飲み」という正統派酒飲みたちの実態をあますところなく記録・保存し、後世へ伝えるために1998年から取材をつづけ、このたび本書にまとめた。 |
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