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| 「星を眺めに」読者が集まっていつの間にか結成された「い〜ち天文同好会」。今夜は会員が集まって、とある山間のペンションで合宿だ。 |
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「オレさ、天文ってまじめで暗い趣味だと思っていたけど、ミナミが同好会に入ってから、ちょっと変わった気がする」とリュウ。 「そうだな、ハルカは会員として知ってないと恥ずかしいと思うようなことでも、平気で聞いてくるんだよな。それでいて明るくて一生懸命ときてるから、会の空気が妙に和むんだよ」と笑いながら会長が言う。 「会長! それはバカにしてるんですか? それともお褒めの言葉として受け取っていいんでしょうか?」とハルカは笑ったような怒ったような顔でくいつく。
「それにしても、この6年半、日食や月食はもちろん、6万年ぶりに接近した火星、太陽系最大の木星、リングが神秘的な土星、金星の太陽面通過、しし座流星群と、いろんな観測をしたよな」と会長。 「会長がおっしゃるように、ホントいろんな星や現象を見て、天文のことを勉強したけど、すばるの名が清少納言の枕草子に出てくるとか、天文以外のことも覚えたような気がするわ」ミナミはプレアデスを見ながらしんみり。 「そのとおり。星や宇宙は、天文学だけでなく、いろいろな学問とつながっている」。今まで、ニコニコみんなの話を聞いているだけだったタツヤが口を開いた。 「たとえば、おうし座のツノの星の先にある“かに星雲”は、超新星爆発の残骸(ざんがい)だが、藤原定家の書いた『明月記』にそのとき現れた超新星の記録が載っていた。また、エジプトのギザにある三大ピラミッドは、あのオリオン座の三ツ星の並び方に合わせて建てられたのではないかという説がある」 |
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| 藤原定家が書いた『明月記』の巻48には、藤原定家が、陰陽師阿部泰俊に、過去の客星(新星)出現記録を調べさせ、その結果が掲載されている。その中の天喜2年(1054年)に天関星(おうし座)の近くに現れた客星が、かに星雲を生み出した超新星爆発だった |
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| 平安時代の女流作家、清少納言が書いた枕草子の第236段には、清少納言が好きだった星の名を列挙してある。そのトップが“すばる(プレアデス星団)”。太白星は金星のこと、よばい星は流星のこと |
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| エジプトのギザにある有名な3大ピラミッドは、オリオン座の3ツ星と、並び方・大きさと星の明るさの関係が一致している。またオリオン座の左側(東)には冬の天の川が流れているが、3大ピラミッドの左側にはナイル川が流れている。これらの理由から3大ピラミッドはオリオン座の3ツ星をまねて作られたという説がある |
| 「そうそう、クリスマスツリーのてっぺんにつける大きな星は、キリストが誕生したときに輝いたとされる“ベツレヘムの星”と呼ばれていて実際に輝いた星かもしれないって、本で読んだことがある」とシン。 「文学や歴史、考古学はもちろん、いろいろな分野と天文学はつながっているんだ」 「天体をモチーフにした音楽もたくさんあるよね。ホルストの“惑星”とかドビュッシーの“月の光”とか…」とヒカル。 「そうか、星の楽しみ方って、星座を覚えたり、観測をしたり、写真を撮ったりするだけでなく、いろいろな楽しみ方があるんですね。なんだか星が好きになるだけで人生が楽しくなるような気がするわ。天文学じゃなくて天文楽ですね」とハルカの目が輝やく。 「そう、それはきっと私たちの心のルーツは宇宙にあるからだ。じっくり宇宙を眺めそれを探求することによって、無意識のうちに自分自身の存在を確かめてきたのだろう」会長が締めくくるように言った。 あくる日、みんなは“天文楽で行こう”を合言葉に、抱えきれないほどの夢と希望を抱いてペンションを後にするのであった。 |
| 著者プロフィール ★浅田英夫★ 小学生の時から星が大好きで大好きで、そのまんま大人になっちゃった天文おじさん、48歳。日本天文学会会員で、天文関係の文書制作やイベント企画を業務とする「あさだ考房(緑区)」代表。 http://www.infonia.ne.jp/~asadapr |
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